被災地の児童に「ランドセル」を中古品寄贈を呼びかけ

中学生と保護者も協力 支援の輪広がる

能登半島地震の被災地にランドセルを届けようと、松本市双葉の制服リユース業「ココ・リンク」代表の吉澤梢さん(43)が、中古品の寄贈を呼びかけている。家屋の倒壊などでランドセルをなくした児童らに届ける予定。市内の中学生や保護者らにも、支援の輪が広がっている。
吉澤さんは約1年前の開業以来、ランドセルの寄付を募り、クリーニングして安価で販売する石川県白山市の業者「アールエスネクスト」の木下成久さん(58)らに託している。
1月17日に木下さんから「被災地の子どもたちに贈るランドセルを集めたい。協力して」と連絡を受けた吉澤さん。制服などのリユースで連携している松本市の筑摩野中学校と、長男が通う信明中学校に協力を呼びかけた。

「思いを形」に生徒次々贈る

筑摩野中学校では、PTAの代替組織「りんどう会」の設立準備委員会が呼びかけの文書を作り、全校生徒に配布した。校内でランドセルを集められるように、回収用の段ボール箱を設置した。
回収初日の今月2日、ランドセルを抱えた生徒が次々と登校し、箱はあっという間にいっぱいに。この日だけで28個が集まった。
信明中学校では、吉澤梢さんの話を聞いた福祉文化委員会の生徒を中心に、生徒会の活動として協力。委員が生徒集会や各クラスのホームルームで呼びかけ、チラシを教室に掲示した。
「お金でなくても、ランドセルなら生徒自身が方法を考え、思いを形として寄付できる」と中島紀子教頭。活動を知った生徒らがココ・リンクの店頭に届けているという。
ココ・リンクのSNSでも寄贈を呼びかけ、県内外から送られてくるなど1週間で30個ほどが集まった。店頭に届けた人の中には愛知県から来たという親子や、「高校生の娘が大事に取ってあったが、被災地の様子を知って『自分も役に立ちたい』と言うので預かってきた」と話す母親もいた。

再来年度以降新1年生にも

木下さんは取材に対し、自身が住む白山市は被害が少なく、被災地の状況は「報道で知る限り」と語った。その上で、「新学期が始まる4月は、まだ復興という段階ではないかもしれない。被災した人たちはまず、最低限の日常生活を取り戻すことが最優先のはず。集まったランドセルは6~8月をめどに、復興が進んだ地域から届けたい」と述べた。
加えて被災地の再来年度以降の新小学1年生の需要も見越し、まとまった数のランドセルを集めることに力を入れる方針という。各地にランドセルを引き取りに行く際のレンタカー代や交通費を、クラウドファンディングサイト「キャンプファイヤー」で募っている=こちらから
吉澤さんの元には14日現在で262個が集まり、3月下旬か4月上旬に木下さんが引き取りに来る。吉澤さんは「協力してくださる皆さんに感謝の思いでいっぱい。責任を持ってお預かりする」。ランドセルの数や木下さんに託す模様は、SNSで報告するという。ココ・リンク店頭への持ち込みは2月末まで(営業は水曜午後2~6時、土曜午前10時~午後3時)。