防災装置役立てて「感震ブレーカー」考案

木曽町開田高原の梅戸吉男さん(73)は自身が考案した、家庭用の電気ブレーカーを、地震の強い揺れを感知すると自動的に電気を遮断する「感震ブレーカー」に変える装置を自宅に取り付けている。全国で地震が頻発する中、「役立ててほしい」と製作キットを無償で提供するほか、作り方の相談にも乗る。
たこ糸を付けたゴルフボールを、壁に取り付けた金具(ヒートン)に載せ、たこ糸の端を直径1センチほどのチューブに巻き付け、チューブをブレーカーのスイッチにはめる。震度4以上の揺れでボールがヒートンから落ちると、たこ糸がスイッチを引き下げ、電気が遮断される仕組みだ。
地震による火災は、家屋が倒壊してもブレーカーが落ちず、電気が復旧した時にショートして発生するとされる。消防団で長年活動した梅戸さんは1984年、死者・行方不明者29人を出した王滝村の県西部地震で救助を経験。避難後の各家の電気がつけっぱなしだったため、火災を危惧して装置を考案した。
地震体験車の協力で動作を検証し、ボールの重さやヒートンを取り付ける角度などを試行錯誤して完成させた。中部電気保安協会(名古屋市)に使用を認められたという。
梅戸さんは生活を便利にしたり安全にしたりする道具を自作し、営林署に勤めていた1994年に「作業現場における完全退避確認装置」で科学技術庁(当時)長官賞を受けたこともある。
「地震による火災から1人でも2人でも守れたら」と梅戸さん。キットは8セット用意した。問い合わせはTEL090・1403・3117