病気の犬助けたい 「松本ドッグレスキュー」医療費などCF

多くの人の応援で命つなげた

余命1年の子犬を助けたい─。犬の保護活動を続ける団体「松本ドッグレスキュー」(松本市蟻ケ崎6、池田良子代表)は、高額な手術費や医療費に充てようと2月、クラウドファンディング(CF)をスタートした。
昨秋、多頭飼育崩壊で保護された犬を、松本保健所から12匹譲り受けた。うち1匹が妊娠しており、11月に4匹を出産。今年1月に2匹の重大な病気が発覚した。
急を要するため1月末、県外の動物病院で手術を受けさせた。費用は2匹合わせて約65万円。術後検診なども含め、CFの目標額を130万円に設定したが、1カ月弱でクリアした。
31日まで支援を受け付けるといい、他の保護犬の餌代や医療費などにも充てる予定だ。

出産した保護犬 子犬に余命宣告

さまざまな事情で飼えなくなった犬を保護し、飼い主を探す活動を続ける「松本ドッグレスキュー」。昨秋、松本保健所から多頭飼育崩壊の犬、12匹を保護した。そのうちの1匹、パピヨンの雑種のカールが妊娠しており、11月に4匹の雌の子犬を出産。今年1月、ワクチン接種のため動物病院に行った時、2匹の子犬、まる子とつる子に動脈管開存症(PDA)が見つかった。
動脈管は肺動脈と大動脈を結ぶ血管で、胎児期から出生直後に存在する。その後自然に閉じるというが、閉じずに残った状態がPDAだ。開いたままだと動脈管を介し、大動脈から肺動脈へ血液が逆流。心臓への負担が増え、重症化すると左心拡大などを発症し、最終的には死亡するという。
保護、飼い主探しの活動などを続けるボランティアの中には、保護した犬が妊娠していた場合、産ませない選択をする人もいる。だが、池田良子代表はエコーで映し出された子犬の心臓の動きを見たとき、「どうしても産ませたい」と思ったという。
産ませたからには責任がある。余命宣告を受け、一刻を争う状態だったが、県外の病院に運び、手術を受けさせた。特にまる子は重症で、「病院に着くまで持たないかと思った」(池田代表)ほどだった。手術は成功し、現在は元気に跳び回れるまで回復した。

動物飼う責任考える機会に

「松本ドッグレスキュー」は、1995年の阪神淡路大震災を機に活動を始めた。活動費は寄付、グッズ販売以外、全て池田代表が賄っている。餌代だけで月に3万~5万円。他にワクチン代、診察費など、さまざまな経費がかかる。今回は手術代が2匹で65万円ほどかかった。今後さらに投薬、術後の検査などの費用が必要になることを考え、クラウドファンディング(CF)を始めることにした。目標額は130万円に設定した。
7日午前9時半現在で173万1千円に達し、200人が協力した。目標以上に集まった分は、他の保護犬の活動費にも充てたい考えだ。池田代表は「心温かい支援に感謝している。多くの人の応援で命をつなぐことができた」と話す。
多頭飼育崩壊や、飼い主が年老いたり、しつけがうまくいかなかったりして、ペットを手放す人もいる。29年間の活動を通して池田代表は「動物を飼うときは、一生世話をする覚悟がいる。お金もかかるし、家族でしっかり話し合うことが必要」と力を込める。今回の出来事が、そういった問題を考えるきっかけにもなればいいと期待している。
支援は、CFサイト「READY(レディー)FOR(フォー)」=https://readyfor.jp/projects/m_dogrescue=で募っている。