「人生を楽しむ」実現へ 白馬中学校で特色ある学びの時間「あいTIME」

白馬村の白馬中学校(216人)は、月~木曜の授業の後、特色ある学びの時間「あいTIME」を設けている。1日25~30分で、曜日ごとに内容は異なる。例えば月曜は手話、古文書、卓球といった、芸術・文化やスポーツに取り組み、趣味や興味を広げる日。木曜は各種検定・資格試験への挑戦を目指し学ぶ時間にしている。
同校が掲げる教育ビジョン「愛のある学校」、学校教育目標「人生を楽しむ」の実現に向け、2024年度から採用した。多様化する社会で生徒が楽しく生きるために、9教科の学び以外の幅広い体験、物事や社会とつながる機会にと、独自に設けた。
本年度は、毎日10分を掃除や英語力向上に充てる「とくとくTIME」も開始。人生を豊かにする視点を重視する、学びの現場を見た。

趣味や検定などで広い視野を

毎週月曜の授業終了後、白馬中学校の生徒たちはそれぞれ趣味を楽しむ。月曜の「あいTIME」は、思いを伝える筆文字「伝筆」、古文書、ヨガ、ダンス、太極拳、わら細工、剣道など、10の初心者向けの講座から一つを選び、昨年10月から取り組んだ。学年、クラスを超えた顔触れを、教員のほか地域住民が講師を務め教える講座も多い。
2月16日、手話の講座をのぞくと、生徒たちが手話で短文を発表し合っていた。「好きなスポーツは水泳です」「僕はゲームが好き。勉強も得意です」。講師は、村で活動する手話サークル「雪ぼっこ」の面々。20人余の生徒に手話の基礎を教え、習得に向けた頑張りを温かく見守る。
2年の倉科ひなたさん(14)は「地域の先生が優しいので、難しいけれど楽しい。好きな映画に出てくる手話が、少しだが分かるようになり、うれしい」。講師らは、手話に興味を持つ生徒が多いことを喜ぶ。聴覚障がいのある桜井清枝さん(81、同村)は「いろんなことに興味を持ち、自分で選択ができる年頃。まずはいろいろやってみて」とほほ笑む。
ブルースハープの講座は、みんなで合奏を楽しむ。古文書の講座では和とじ本の製本にも挑戦。授業では得られない体験や、地域の人と交わりから、生徒たちが視野を広げる。

木曜は、「検定に挑戦」で、各種検定、資格試験の合格を目指して学ぶ。実用英語技能検定(英検)、実用数学技能検定(数検)、日本漢字能力検定(漢検)をはじめ、ジュニア・プログラミング検定、世界遺産検定など10講座から選択。担当教員も一緒に学ぶスタンスだ。
ニュース時事能力検定の講座は7人が選択。黙々と机に向かう生徒もいれば、仲間と問題を出し合う姿もある。2月13日には5人が4級の試験に挑戦した。2年の田中希ノ果さん(13)は「以前よりもニュースや新聞記事の理解が進んだ。自分の意見や考えがしっかり持てるようになった」と変化を語る。同講座担当の北沢博和教諭(50)は「生徒と一緒に学び自分も勉強になる。受け持ちのない生徒とも関われる」。
実際の検定の受検は自由。来年度は村が生徒の受検料を助成をする方針だ(制限あり)。
火曜は、気になる新聞記事をスクラップする時間、水曜は生徒会活動の時間としている。
「あいTIME」の名称は、教育ビジョン「愛のある学校」にちなんだ。「出会い」「触れ合い」「支え合い」「喜び合い」など、さまざまな「あい」を含むという。

給食後10分間は「とくとくTIME」。「徳を積む」意識でこつこつと努力を重ねる時間だ。火、木曜はAIを活用したアプリで、英会話や発音のトレーニングをゲーム感覚で行う。ほかの曜日は校内清掃に励む。
中村和彦校長(56)は取り組みの意義を「生きていく上で役に立ったりほっとできたりする、人生の喜びを感じるような時間を、中学校がつくっていけたら」と語る。卒業や進級を控えた生徒の目つき、顔つきに、成長や変化を感じるという。