「燕岳とともに百年」山小屋・燕山荘が創業百周年記念し本出版

三代の記と28人の寄稿中心に

北アルプス燕岳(2763㍍)頂上近くの山小屋「燕山荘」を経営する会社・燕山荘(赤沼健至社長)は、同山荘の創業百周年(2021年)を記念した『燕岳とともに百年』を出版した。「燕山荘三代の記」と、関わりの深かった人たちの寄稿「燕山荘創業百周年に寄せて」を中心に据え、それぞれの体験や思いから山荘の歴史を浮かび上がらせた。
三代の記(故人の文は本などに掲載されたものを再録)で、初代社長の赤沼千尋さんは1921(大正10)年に燕山荘の前身「燕の小屋」を建てた頃や、戦時中の困難を乗り越え山荘を守ったことを回想。2代目の淳夫さんはヒュッテ大槍の再建、65(昭和40)年からのヘリによる荷揚げなどに言及した。3代目で現社長の健至さん(75)は、自身が81年に始めたアルプホルンの演奏や84年からの「燕山荘クラシック・コンサート」などソフト面に力を入れたとしている。
「百周年に寄せて」に登場したのは28人。信州大農学部の泉山茂之さんは、96年夏から関わったクマ対策に触れ「自然と共生していくためには努力の積み重ねが必要」と指摘。夏山診療所の開設に携わった大友祥伍さん、「親子ファミリー登山」を企画した登山家・著述業の大蔵喜福さんらが思い出をつづった。20代前半に初めて燕岳に登り感動したという登山家田部井淳子さん(故人)の文も再録された。
 淳夫さんと健至さん父子の写真展「四季燕岳」、燕山荘のパンフレット・Tシャツなどグッズの変遷、百年史年表を載せた。
 百周年の21年はコロナ禍だったが、12月に松本市内のホテルで「百周年感謝の会」を開いた。その後、「竹に節目があるように、百年の節目に記録として残しておきたい」と本の作製に着手し、昨年11月に完成。健至さんは「山は感性を磨き、心を豊かにしてくれる。山登りの大切さを伝え続けていきたい」と話す。
『燕岳とともに百年』はB5判、200㌻。450部印刷し、これまで世話になった人たちなどに配った。非売品。燕山荘松本事務所?32・1535

【燕山荘】 1921(大正10)年、24坪で50人収容の「燕の小屋」として建設。28(昭和3)年に燕山荘と改名。34年には帝国ホテルで株式会社燕山荘を設立し、同ホテルグループの傘下に。戦後の52年、財閥解体に伴い、赤沼千尋さんが同ホテルから全株式の譲渡を受け、元のオーナー経営に。その後、大天井ヒュッテ、ヒュッテ大槍の創業など他の山小屋とも協力し運営を拡大した。