【像えとせとら】常念坊(安曇野市堀金烏川)

“とんでる”ユニークさも伝説に

背中に羽?おなかの下に車輪?右手にひょうたん?これはいったい何の像?
「道の駅アルプス安曇野ほりがねの里」に隣接する堀金中央公園の芝生の中に、ユニークなブロンズ像がある。安曇野に伝わる伝説の人物「常念坊」だという。
旧堀金村時代の1992年、松本市にも住んでいたことがある彫刻家、城田孝一郎さん(91、東京都清瀬市)が制作した。前年に同公園が完成した際、村が「記念のモニュメントを」と企画。常念岳が村のシンボルであることや、雪形として現れて田植えの時期を教えるなど、村民に親しまれていた「常念坊」を作ることにし、城田さんに依頼した。
里へものすごいスピードで飛んでくる、酒が好きで、家々を回って酒を乞う|という伝説から、インスピレーションを得たという城田さん。「背中の羽は、山からすっと降りてくる、腹の下の車輪は、街中を疾走するというイメージで、デザインした」と話す。ひょうたんは酒器としても使われ、富と福を授けるということから持たせたという。
雪形の常念坊は、とっくりを手にした僧侶の立ち姿。「合掌している」と見立てる人もいる。像の完成当時、村職員らは“とんでる常念坊”の姿に驚きを隠せなかったといい、これもまた、一つの伝説になった。