3代目 池のほとりでほほ笑む
校庭にある「河童池」に落ちたら、同校では一人前の「源池っ子」と言われる。池のほとりでは、新たな仲間の誕生を楽しみにするかのようにカッパの像がほほ笑む。
像の作者は、碌山美術館(安曇野市穂高)の建設にも尽力した彫刻家の笹村草家人(そうかじん、1908~75年)。当時小学2年生だった長男がモデルという。背中に甲羅はあるが、頭はおかっぱ髪で皿はない。
池は、街から子どもたちの遊び場が消えようとしていた61年、同校の児童らが立ち上がって造った「夢の広場」の中心。石や植栽の採集から穴掘り、廃品回収をしての資金調達まで、児童が主体的に行った。
当時の校長からシンボル像の制作を依頼された笹村は、広場建設の全体の指揮も執り、宿直室に寝泊まりすることもあったという。「行動力があり、情熱的な人でした」と、当時教員だった80代の男性は懐かしむ。
現在の像は3代目。初代は雨風で傷んできたため、80年に日本民俗資料館(現市立博物館)に収蔵された(現在は市美術館蔵)。2000年に池を現在の位置に移した際、3代目がお目見えし、2代目は校舎の正面玄関にすみかを変え、来客を出迎えている。
カッパといっても、姿形は人間の子どものよう。夜中に動きだすなんてうわさはないの?何人かの源池っ子に尋ねてみたが「ない、ない」と笑われた。