【像えとせとら】八面大王ファミリー・安曇野市穂高

安曇野の一大観光地でもある「大王わさび農場」は、伝説の鬼「八面大王」が由来!? 正面入り口横にある3体の像は左から、八面大王(魏石鬼)と息子の真国(まくに)、妻の紅葉鬼神(もみじきじん)。どこかユーモラスで、人間くさい鬼の一家だ。
征夷大将軍の坂上田村麻呂に退治されたという大王を祭ったほこらが1915(大正4)年、犀川の洪水で流された。それを見ていた農場の創業者、深澤勇市さん(1886~1941年)の元に、大王の化身のタカが飛来。「ワサビを植えなさい」と告げたのが、農場開設のきっかけという。ワサビ田の完成後、深澤さんは「大王神社」を建立した。
1970年代に2代目勇市(増夫)社長の「観光農園化」構想により、約60体のブロンズ像や道祖神、こま犬などが農場のあちこちに置かれた。鬼の一家もこの時に作られ、大王のすみかを再現した農場奥の岩屋の横に置かれ、後に現在地に移された。
八面大王は盗賊団の首領で、悪事を働いたとされる一方、全国統一を進める大和朝廷の無理難題に抵抗した地方領主と見る説もある。同農場百年記念館の濱重俊館長(75)は「力強い人や、ものごとを極めた人も“鬼”と言われる。『大王』と呼ばれているので悪者ではないはずだが、(像は)伝承により鬼の姿にしたのでは」と推測する。