【像えとせとら】アルプス公園恐竜(松本市蟻ケ崎)

世代を超えて記憶に残る存在

子連れの家族でにぎわう「子供冒険広場」の片隅、林の中に1体だけぽつんとたたずむ。わが子を連れて久しぶりに訪れた際、「こんな所にあっただろうか?」と疑問に思った。
それもそのはず。元は今の場所から約100メートル南東の「岩山滑り台」の降り口付近にあった。2007年に公園がリニューアルした際に現在地に移され、色も塗り直された。
恐竜はもっとたくさんいたと言う人もいる。いつから、なぜ、名前は|。その痕跡を調べようとしたが、資料が見つからない。市公園緑地課の台帳に「恐竜乗物遊具」と記載があるだけだ。
開園から3年後の1978年、園内にオープンした「小鳥と小動物の森」で当時飼育員をしていた人によると「その時にはすでにあったと思う。恐竜は1体だけだった」。
園内の「山と自然博物館」とその前身「アルプス山岳館」の学芸員をしていた小原稔さん(54)は「リニューアルの際、恐竜を壊すという話も出たが、市民を含めた会議などで『残そう』ということになったのでは」と推測する。移動前は、周辺に小動物の小さな像もあったという。
昔いたあの恐竜はどこにいますか?公園スタッフは子どもを連れた人に、度々尋ねられるという。少し笑みを浮かべているようにも見える恐竜。記録はないが、人々の記憶には残っている。