【中村小太郎・駆け出し百姓の自然農奮闘記】#10 売り方革命

私たち生産者は作るのに夢中で、売ることは後回しにしがちです。そしてヘタです(JAさんに甘えすぎ)。私も4年前に移住してきて、自然農法で作ったお米が売れなくて困った経験があります。抱えた在庫は何と2トン。へこみました。
自然食のお米屋さんに営業をかけてもダメ。日本全国のお米屋さんにサンプルを送っても芳しくありません。自然農法のお米なら売れるはず―という超甘い目論見(もくろみ)が砕け散った瞬間です。
もとより自家採種の農家で農薬も肥料も買わないので、JAさんからは相手にされていません。買っていただけるわけもなし。
そうだ、自分の得意分野(ITベンチャー経営者から大病経由で百姓)でやり直そう。ソーシャルメディアへの登録と、ホームページnakamurakotaro.comを準備しました。
最初はもちろん鳴かず飛ばずです。手を替え品を替え、売り込む日々。そして転機が訪れます。
そうだ、「顧客」に聞け、だ。ビジネスマン時代の行動の基本じゃないか。ご愛顧いただいている方に連絡を取り、購入の理由をうかがいました。すると、「小太郎米は発芽するから選んでいる」。
そこで「生きているお米」をアピールすることに。すると、理解が広がったのか、フェイスブックのつながりが4800人になり、アマゾンプライムで売り切れました。
かつて農作物はJAさんに買い取ってもらうのが常識でしたが、自分で売れる時代になりました。相手にされなかったから革命に立ち会えています。
最近はネット販売用のアプリが超便利。スマホだけでほんの5分から10分で「売り場」が作れます。そして何よりも「顧客」の声が聞こえます。小さなガッツポーズの毎日です。