青い目をしたこま犬がいる―。その情報を寄せてくれたのは、生坂村の古代史研究会員で考古学が趣味という原田徹郎さん(84)。3年ほど前に神社を訪れた際、西日に照らされたこま犬の目が光り、「はっ」と気づいたという。
こま犬は、石段を登った先の参道脇にそれぞれ鎮座している。こけむして、台座に刻まれた文字はよく見えないが、造立は江戸末期の嘉永6(1853)年とある。高さは台座を含めて約2メートル、こま犬は70センチほどだ。
確かに目玉だけが異様に青い。向かって左側の像は汚れで薄く見えるが、宝石のターコイズのようなブルーだ。当初から青かったのか、後で塗られたものなのか「近所で聞いたが分からない」と原田さん。村教育委員会にも、特に資料はないという。
代わりに紹介してもらった五社宮氏子総代の井口栄さん(77)に尋ねたところ、「言われるまで気づかなかった。地元の人も、ほとんど知らないのでは」。
よく見ると、こま犬は一般的に向かって右側が口を開いた阿形(あぎょう)、左が口を閉じた吽形(うんぎょう)だが、ここは配置が逆だ。謎は深まるばかりだが、「これを機にきちんと調べ、後世に伝えられるよう記録に残したい」と井口さん。
今まで何げなく見過ごされてきた地域の歴史遺産に光が当たることを願い、お参りして神社を後にした。