【記者兼農家のUターンto農】#21 トマト栽培

先達の助けは仰ぐべし

4月の回で管理機(小型耕運機)を取り上げたときに耕した畑で、トマトが取れた。
できる限り1人で、種から育てたいと始めた。種まきは4月下旬。半月たっても芽が出なかった。思い当たるのは水不足だ。水やりは朝にしたが、記者の仕事に出た後はほったらかし。種をまいた畝は、すぐに乾いてしまったようだ。
ネットで調べて畝を立てたが、マルチシートは敷かなかった。雑草はまめに取るからいらないと思ったのだが、保水の問題が起きるとは。
今さらながら親の管理するトマト畑を見に行くと、平地にシートが敷いてあった。「間違えたか」。1人で育てるということをはき違え、ネットでは調べても、一番身近な人に聞かなかったことを悔いた。
天気に助けられた。5月中旬、雨が続いた。東海地方が梅雨入りし、長野はまだかと言われた。結局、梅雨入りはしなかったが、間もなく芽が出た。恵みの雨に感謝した。
朝の水やりを続け、時々、草取りをした。成長が遅いという母の指摘を受けて、素直に追肥した。ぐんと伸びた。母の指導で支柱を立てた。8月初め、暑いさなかに真っ赤な実がなった。
さっそく食べた。おいしい。だが、とびっきりというほどではない。妻は「まあ、普通だね」。うなずくしかなかった。
ありがたく思うべきなのかもしれない。ほとんどほったらかしなのに、立派にできた。無農薬だが、化学肥料を使ったから、有機という「ストーリー」もない。特別なうまさを求めるのは虫がいい。
元肥はせず、追肥も少し。「日当たりは良くないが、地味はいい畑」という親の評価はその通りだった。行き当たりばったりでも、モノになったのは要所で助けがあったから。先達のありがたさを改めて思った。
次は何とかこのトマトから種を取りたい。自家採種を勧める中村小太郎さんのアドバイスを仰ぎたいと思っている。