【野遊びのススメ】#16 まき割りに挑戦

“ぱきっ”気持ちよい感触

これからは、たき火の暖かさが身に染みる季節。まきは、キャンプやまきストーブに欠かせないが、調達はこれまで人任せだった。自分で割れるようになりたい|と、まきを作って販売している柳沢林業(松本市岡田下岡田)の堀内義夫さん(58)に弟子入りした。

おので成功ちょっとした達成感

玉切り(原木をまきの長さに切る)した木材を割るのに、まずはおので挑戦。「安全第一。両足を大きく開いて構え、おのを木材の中心目掛けて、地面に向かって垂直に下ろすイメージで」と手本を示す堀内さん。“どすん”“ぱきっ”と迫力ある音を立てて真っ二つに割れた。
記者も同様に構える。が、重さ約3キロもあるおのは、持ち上げるだけでもしんどい。まきを目掛けて恐る恐る振り下ろすと“コツン”。刃型が表面に付くだけで、割れる気配はない。繰り返しチャレンジするが、的が外れて刃型が増えるだけ。諦めた堀内さんは「機械に変更します」。
エンジン式まき割り機を借りる。エンジンで油圧ポンプを回し、刃が付いたピストンを油で押し出して木材を割る。ねじれや節がある木は均等に割れないが、さまざまな形は自然のものならでは。漂う木の香りも心地よい。
まきは、さまざまな種類がある。クヌギやナラなどの広葉樹は堅くて重く、熱量が大きく長持ちする。軟らかめで軽いカラマツなどの針葉樹は、火付きがよく燃え尽きるのも早い。
一段落したところで針葉樹を選び、再びおのを手に取った。重心をさらに低く構え、体幹を意識して振り下ろすと“ぱきっ”と気持ちよい感触が。初めて成功した。機械と違い、ちょっとした達成感がある。
同社は原木や玉切りした状態でも木材を販売し、自力でまき割りを楽しむ愛好者も多いという。記者はほとんど割れなかったが、「こつさえつかめば、できるようになるよ」と堀内さん。
一方、割らなくても手軽にたき火ができるのが「スウェーデントーチ」。同社でも作っており、丸太に切り込みを入れて直接火を付ける。北欧では古くから、かがり火として使われていたといい、キャンプで人気だ。
簡単な調理にも使え、記者はキャンプ用のフライパンを載せてピザとソーセージを焼いた。香ばしい香りのピザを頬張りながら、炎に手をかざす…。何ともぜいたくな時間だった。