【記者兼農家のUターンto農】#32 稲わら

使い道いろいろ、農事の要

カンリキ・リターンズ。小さな耕運機、管理機で久しぶりに小さな畑を耕した。畑も冬支度だ。
先週書いた秋起こしではトラクターで5カ月ぶりに田んぼに入ったが、今度は7カ月ぶり。操縦はへたっぴのまま、よたよたするのは情けない。
畑でも主な目的は稲わらの混ぜ込みだ。トマトやナスなどの枯れ茎を片付けた後、刻んだわらを地面を覆うようにまく。鶏ふんを適量入れ、さらに柿の葉を少々。畑の脇に立つ木から落ちる葉っぱをそのまま生かす。元からある有機物と言えば、雑草もそうかも知れない。
そのさまざまを管理機で土と一緒くたにしていく。微生物の働きで、来春、いい堆肥になることを願いつつ。
それにしても、稲作はできたものを無駄にしないのだなと感心する。
米粒を覆っていたもみ殻は、畜産で重宝されるほか、くん炭にする活用法を先々週紹介した。もみ殻のさらに内側のぬかも、肥料になったり、漬物を作るぬか床になったり。
そして、稲わら。「身内」の田んぼはもちろん、稲にとっては「よそ様」に当たる畑の土も肥えさせる。うちでは、冒頭の小さな畑のほか、リーフレタスの畑にも父がしっかり入れている。
すき込まず地表で活躍してもらう、敷きわらという使い方も。ビニール代わりの天然素材マルチだ。雑草が生えないようにしたり、雨で泥がはねるのを防いだり。実家では、自家用スイカやトマトの栽培に使っている。
はや、もうすぐ年末。稲わらでしめ縄を作ることになる。年をつなぐ作業のことを考えると、うちの農事は稲作が循環の要なのだなと思えてくる。
管理機の操縦は、これから何年も続けていくことになる。土づくりは1年や2年でできるものではないというが、よたよた運転の改善は速成でいきたい。