【記者兼農家のUターンto農】#126 土壌微生物

食物連鎖の始まり見てみたい

先週末からしばらく季節外れに暖かい日が続いた。温暖化を連想して気味悪く感じる一方、興味深く田畑の様子を眺めてもいる。
そこに作物は育っていない。それどころか土地は平らに耕され、遠目には殺風景だ。
見どころは表面、あるいは地中にある。すき込まれた稲わらや緑肥が今、分解されているはず。担い手である微生物は暖気で活発になっているだろう。
もちろん変化は一朝一夕に現れない。わらや緑肥は徐々に土にかえっていく。いつの間にかという言葉がぴったりで、これまで気にしたことはなかった。
だが最近、月刊誌「現代農業」のある記事が目に留まった。うちと同じようにソルゴー(ソルガム)を緑肥にする神奈川県の農家によると、すき込んで10~14日で緑肥に取り付いた菌糸などが見えるようになるという。写真には、それらしきものが写っていた。
土には何もいないように見えて、実は多様だという知識はある。細菌は1グラムに10億以上いる。カビの仲間などもすんでいるという。
それら土壌微生物の働きで、枯れた植物や死んだ動物が分解される。緑肥からは窒素が土に入る。そう聞いていたことを目で見ることができると現場のリポートで知り、うちの田畑でも観察できないかと思った。
うちの畑は、10月終わりにソルゴーをすき込んだ。いい陽気が続いた日、土から枯れ枝をつまみ出して観察してみた。菌糸は…、まだないみたい。暖かいとはいえ信州は神奈川より寒いし、そもそも土にいる微生物の種類や数など条件が違う。
いずれにしても、来春からはここに新しい作物が育てられる。栄養分の一部は、緑肥が分解されて出たものになる。食物連鎖の始まりを目撃できればと思って観察を続けたい。