岩に表情? 圧倒的な迫力
塩尻市と長野市を結ぶ善光寺街道でかつて栄えた青柳宿の外れに、大きな岩を切り開いて造った「大切通(きりどお)し」がある。同宿と麻績宿(麻績村)を結ぶ道で、両脇の高さ6メートル、長さ26メートル、道幅3メートルほど。間近で見ると圧倒的な迫力だ。
散策しながら眺めていると、岩の一部が顔のように見えた。村観光課に尋ねると「初めて聞きました。新しい発見では」と担当者。切通しは職人が岩をのみなどで掘って道にしたといわれ、「その時にできた深い傷や、雨風など自然によってつくり出された形がそう見えるのかもしれません」。
近くには、通行人の安全を願って刻まれた「馬頭観音」などの石仏が40体ほど残る。江戸時代には倍以上あったが、風化で削られたり盗難に遭ったりしたとか。岩が厳しい表情に見えたのは、石仏を守りたいという思いの表れのような気がした。