【野遊びのススメ】#37 初めての燻製作りに挑戦

木箱で簡単味の変化感動

燻製(くんせい)といえば本格的な道具で作るもの-というイメージを抱いていたが、木箱を使って簡単に楽しめると聞いた。そこで県林業総合センター(塩尻市片丘)森林学習展示館が、燻製作り教室で使っている箱を借り、初めての燻製作りに挑戦してみた。

いぶすだけで高級感…魅力を実感

箱の大きさは幅45センチ、奥行き36センチ、高さ57センチ。底は板がなく、扉は正面に上下二つ。下で煙を出し、上に入れた食材をいぶす。食材は2段入れられる。
竹内嘉江館長(64)に教わった通りにやってみる。土の上に箱を置き、下にれんが2枚をセット。火をおこした炭をその間に、スモークチップを入れた金属トレーを上に載せて準備完了だ。チップはリンゴやクルミなどいろいろあるが、味がいいというサクラにした。
食材は初心者にお薦めというチーズ、ゆで卵、ちくわ、ウインナーに加え、サラダチキン、シシャモ、笹かまぼこを選んだ。マシュマロやドライフルーツなども試しに入れてみた。ひっくり返す時に楽だと聞き、チーズはブロックを1センチ幅くらいに切って、ちくわやウインナーは間隔を開けて串に刺した。
溶けやすいチーズは熱源から遠い上段へ。物によっては網にくっついたり、汁が出たりするのでアルミホイルを敷いて置くといいそう。また、まんべんなく煙がかかるように、30分くらいでひっくり返すこともポイントだ。
扉を閉めると、箱の上に付けた温度計の針がぐんぐん上がっていく。80~90度くらいになると煙が漏れてきた。途中でチップを足したり食材の色を確認したりしながら、2時間ほどいぶして取り出した。
早速試食。あめ色のチーズは、まさに想像通りのスモークチーズ味で感動。サラダチキンは「高級なハムの味がする」と家族にも大好評。主役級のおかずになり、飽きずに食べられる。
ちくわや卵は時間をかけ過ぎたのか、思ったよりぱさついてしまった。低温にするか、早めに取り出すべきだったか…。
ドライマンゴーは甘味が凝縮されてさらにおいしく、ミックスナッツやえびせん、ポテトチップスは煙の匂いが付いて酒のつまみのよう。マシュマロは餅のように伸びて、全く違う食べ物になった。
下ごしらえ不要の食材だったこともあるが、初めてにしては割とうまくできた。煙でいぶすだけで、こんなにリッチな味に変わるとは…燻製にはまる人の気持ちが分かった。
竹内館長によると、燻製は段ボール箱でもコンロに載せた中華鍋や大きめのフライパンなどでも作れ、使用済みチップはお茶パックに入れて脱臭剤として使えるという。他の食材や種類の違うチップでも挑戦してみたい。