【ガンズリポート】「“絆”プロジェクト」スタート 田中隼磨さん学校訪問

松本の小中学生に思いを語る

松本山雅FCの元選手で、今季からエグゼクティブアドバイザーを務める田中隼磨さん(40)が、自身の子ども時代からプロ選手になるまでを小中学生に語る活動「“絆”プロジェクト」を始めた。トップアスリートの経験を、自身が生まれ育った松本の子どもたちに還元したいと、自ら発案した。
「なるべくコミュニケーションを取りたい」と田中さん。初回の6月20日は松本市の会田中学校で2年生19人と向き合い、最初にサッカーボールを使った簡単なゲームで打ち解けてから演壇へ。講話を終え、予定の時間が過ぎた後も残り、サインや記念撮影に気さくに応じた。
交流を通じて強調したのは、まず仲間との協力だ。ボールゲームでは「サッカーは1人では成り立たない。パスは相手を思いやって」と何度も声をかけた。
「みんなと同じ」とも繰り返した。自身は本郷小学校と女鳥羽中学校に通い、「山に囲まれた松本で育った」。当時県内にJリーグのクラブはなく、プロ選手を目指すには不利な環境だったが、親と約束して中学まで地元で力を付けたことを紹介した。
そして、子ども時代に目標を持つ意味を一緒に考えた。「目標や夢がある?」と問いかけ、「目標のために何をすべきか考えて行動してほしい」と呼びかけた。一方で、「目標がなくても全然悪いことじゃない。これから見つけて」とも。「何にしても勝ち取ることは難しいが、努力することで得られるものがある」と結んだ。
話を聞いた竹内心結(みゆ)さん(14)は「夢とか目標とか今はないが、見つかるといいなと思った」。音楽やアニメなど趣味は多いといい、「どっぷりはまり込めるものがあれば。(田中さんの話が)考えるきっかけになった」と話した。
プロジェクトは、山雅の提案を受けた松本市が主催し、希望校を募ったところ、会田中が「2年生の進路学習にぴったり」と最初に手を挙げた。今秋には小学校2校で実施が決まっている。