【中村小太郎・駆け出し百姓の自然農奮闘記】#60 えんぱーくで開店「満腹図書館」

信州のみなさま、私の住む塩尻市には素晴らしい図書館があるんです。そう、満腹図書館です。なんだか宮沢賢治の童話みたい。でも現実なんです。
私たち夫婦は、近くの小学校に地産地消の教材になればと、お米を寄付しました。その際に知ってしまったのです、自分たちが住む穏やかな地域にも貧困が存在すると…。しかも「隠れ貧困」という厄介なやつでした。
米農家に何かできることはないかと3年前から慈善活動を始めました。今年はNPO法人を設立し、市の助成金も受けて、子ども食堂を始めました。「一汁一菜えんしょく」です。場所は、子どもたちが勉強しに集まる市民交流センター「えんぱーく」の一角にしました。
移住してきて最初にえんぱーくを訪れた時をよく覚えています。係の人に声をかけると、振り向いたときにはこちらに全集中なんです。多分、いや間違いなく作業中なのに…。これは接客の極意を学んでいるようです。その視線で見回してみると職員全員そうでした。ここは課題を解決する場所なんです。
えんぱーくには市立図書館が入っています。食べ物で本が汚れるかもしれないのに、食事のにおいで不愉快な思いをする利用者さんがいるかもしれないのに…。図書館のある施設で子ども食堂ができるのは、えんぱーくだからだと思います。
ここに来れば友達と勉強ができて、お金の心配をせずに同じ食べ物でおなかがいっぱいになる。いらっしゃいませ!土曜日午前11時半、満腹図書館開店です。日本中に広まることを夢見ます。