【記者兼農家のUターンto農】#116 インボイス

説明を聞いてもまだ難しい

「インボイス」が分からない。
消費税の新しい仕組みが10月1日に始まる。個人農家も対応しなければならないはずだが、うちに動きは見られない。父に確かめると、農協や卸売り業者と話して解決しているとのことだが、何だか曖昧。自分でも制度を調べてみたが、よく分からない。困った。
折よく、塩尻市が「農業者向けインボイス制度説明会」を開くと知った。8月下旬、10人ほどの参加者の1人となった。
初めに市の担当者があいさつした。「農家も立派な事業主です」。そうだねと思っていると、次の言葉が気になった。「制度には6年間の経過措置もある」。初耳だ。うちが安閑としていられるのはこのおかげかも。
そもそもインボイスとは何か。新しい納税をするのに適した請求書(適格請求書)のことだという。インボイスを受け取った買い手は、仕入れなどにかかった分を差し引いて消費税額を納める(仕入れ税額控除)。逆に言うと、インボイスがないと、買い手がその分をかぶることになる。
インボイスを発行するには課税事業者に登録するのだが、そこは任意だというのがみそだ。うちのような個人農家は多くが売上1千万円以下で、免税業者だ。それをわざわざ課税される側になる?その辺りは説明会を経ても判断できないのだが、当面は分からないままでいいことは分かった、と思えた。
理由の一つは、農協出荷の場合はインボイスが免除されるということ。そして、もう一つが例の「経過措置」。インボイスを出さなくても、買い手の方で6年間は一定割合を控除できる。
ただ、うちのような売り方、規模の農家ばかりではない。直売所がメインだ、旅館に卸している…。説明会の最後、個別に相談してやっと納得顔になる人が何人もいた。
講師の松本税務署職員は、国税庁の特設サイトを勧めていた。何が分からないか分かるだけでも10月以降の備えになる。