【働くママ・パパ】子育てとパートの傍ら週2日営業 吉澤梢さん制服リユースに着目

松本市の吉澤梢さん(43)は、3人の子ども(中学3年、小学6年、年長)を育てながら旅行会社でパート勤めをし、週2日は制服リユースの店「ココ・リンク」を営んでいます。「人の役に立つ仕事にやりがいを感じている-」。熱い思いを聞きました。
★転機は新型コロナ
「日本料理ゆざわ」(同市双葉)を営む両親の間に、長女として生まれた吉澤さん。弟、妹と3人きょうだいになりましたが家族旅行はほとんど行けず、旅への憧れから高校卒業後は高山短大(現高山自動車短大=岐阜県)商業経営観光文化コースで学びます。
卒業後は、上諏訪温泉の旅館「浜の湯」(諏訪市)に就職。2年間働いた後、ワーキングホリデーでオーストラリアへ。24歳で帰国し、松本の旅行関係の会社に就職します。
26歳の時、両親の店に客として来ていた輝彦さん(45)と知り合い結婚。2009年に春輝(はるき)さん、11年に幸輝(こうき)君、18年に咲輝(さき)ちゃんを出産します。子どもを保育園に預け、共働きで頑張っていた矢先、コロナ禍に。会社は倒産。小学6年生だった春輝さんは、中学入学に向けて制服や運動着など物要りの時期でした。
「制服は高いから、3年間着られるサイズを選ぼう」。そう考えていた時、近所の先輩ママたちから「男子は3年になると急に背が伸びて、制服を買い替えることになる」と聞きます。
最後に買った学ランは卒業後どうなるんだろう?尋ねると、サイズが大きいため入学を控えた6年生にはあげられず「捨てた」という人も。「不要になった制服を、必要とする人につないであげたい」という思いが芽生えます。
★「ココ・リンク」開店
「自分の息子だけでなく、他にも助かる家庭があるはず。いずれは自宅でやろう」と起業を決意し、まずは家計のため就職に向けて動きます。
資格取得を目指し職業訓練校に入学。保育園に通えなくなった咲輝ちゃんを同校の託児所に預けながら半年間学び、簿記2級に合格します。昨年1月、「来夢(らいむ)ツアー」(下諏訪町)に就職し、パートで働き始めます。
生活の基盤ができ、いよいよ制服リユースに着手します。宴会場だった実家の2階を改装して店舗にし、今年1月から職場の理解を得て準備を始め古物商許可を取得。3月に「ココ・リンク」をオープンしました。ノウハウを学ぶため、金沢市の制服リユース「リクル」で研修もしました。
集める制服や運動着は、寄付のほか状態が良い物(卒業後6年以内、現行モデルなど)は買い取り、ほつれの修理やほこりを取るなどした後、すべてクリーニングへ。運動着に付いた名前の刺しゅうは外し、ネームを希望する購入者には刺しゅう業者を紹介します。
犯罪などの悪用を防ぐため、販売するのは在校生と入学予定者のみ。購入時は身分証明書の提示をお願いし、通常価格の3分の1程度で販売しています。ウェブサイトでは、中信地区の幼稚園から高校までの制服や体操着の在庫を検索できます。
★家族も応援
吉澤さんが留守にする間、輝彦さんは子どもの世話や家事を担い、春輝さん(14)と幸輝君(12)もパソコン入力や値札付けなどに協力。咲輝ちゃん(5)は保育園の先生たちに店をPRしています。
「娘は生後2カ月から保育園に通い始め、今は店を始めたので一緒に過ごす時間が少なくなり、我慢させているかもしれません。だからこそ一緒に過ごす時間を大事にしたいです」