【PTA私の思い④】改革へ向けて奮闘中 PTA座談会

松本市内の小中学校でPTAを改革する動きが出ています。取り組みを始めた学校の中から筑摩小の濱本初美さん、二子小の百瀬修太郎さん、開明小の伊藤有香里さん(いずれもPTA副会長)と、筑摩野中で有志団体「筑中りんどう会」の立ち上げに携わる手塚貴雄さんに集まってもらい話を聞きました。

役員は同じ熱量で継続を 任期と選び方に疑問

★役員になった理由
百瀬(以下敬称略)長女(高校3年)の役員決めの時は、参観日に来ている父親は時間があると思われ会長候補に挙がり、入学式後の学級代表決めでは立候補がなければじゃんけんで決めるなど疑問に思うことが多々ありました。それでPTAを知ることから始めようと思い立候補しました。
濱本幼稚園と小中学校で役員をやりましたがおかしいことだらけ、学校教育で掲げている主体性・多様性・創造性とかけ離れていると感じました。全国のPTA改革の実例を勉強し、▽子ども1人につき1役▽できない理由を言わせるプライバシーの侵害▽役員が1年で総入れ替え|といった仕組みを変えなければならないと思い、手を挙げました。
伊藤役員が嫌で退会届を出そうと思っていた中、地区のPTA役員が回ってきました。もっと簡素化できるはずなのに、枠組みにはまるしかない現状に疑問を持ち、PTAについて勉強し始めた頃、改革の検討委員会を立ち上げると聞き、協力しようと思いました。
★現在のPTAで感じる問題点は
濱本毎年役員が総入れ替えすることです。役員の仕事のうち何かをやめたいと思っても決断ができないと思います。
手塚同感です。2~3年かけて、同じベクトルを持つ人たちで継承し、その熱量を継続させないと改革は進みません。
伊藤手段が目的になってしまっているのが問題と感じます。目的は子どもや学校のため、その手段として役員を置くはずなのに、役員の確保が目的になっています。コロナ禍を経て、もっと規模が小さく、気軽で流動的でいいのではないかと感じました。
手塚自分の命同然の子どもを託している学校に協力したいと思うのは、当然の親心です。親の事情によって役員をやるかやらないかが目的になり、親同士のいがみ合いにまでなってしまうことは残念です。
百瀬任期が短いことで前例踏襲することが多く、問題と感じています。また、役員決めを経験してきた中で、じゃんけんで決める場面を見て、罰ゲームのようで嫌だなと感じました。

有志を中心に動きやすく 地域・企業・行政と共に

★具体的に取り組んでいること、今後取り組みたいこと
濱本「見える化プロジェクト」を始めています。保護者アンケートから、有意義と感じるが役員への負担・不満が多いことなどが分かり、今後PTAの適正化・最適化を進めていきます。
来年度は加入意思確認をし、人手が必要な時にその都度参加者を募る希望者参加制にすることや、「会長・役員」という呼び名をやめて「サポーター」にすることを提案しています。有志でイベントをやりたいとの声を受け、「子どもと親が遊ぶ日」を7日に開きました。保護者が講師のワークショップや子どもに人気の鬼ごっこ「逃走中」を、初めて希望者参加制でやりました。
百瀬「これからのPTAの在り方を考える会」を立ち上げました。今後、保護者アンケートを行い情報を集め、二子小が抱える問題を話し合っていきます。少子化で子どもが減る中、入退会の意思確認を取った上で現在の役員数を確保できるのか、まずそこから考えていきます。
自分自身がPTAを嫌々やっている姿を子どもに見せたくないという思いがあります。親が楽しんでやる姿を見せられるようにしていきたいです。
伊藤開明小もアンケートを実施しました。改革を望む声、教職員の負担を減らしてもよいという声が多かったので、検討委員会では教職員の会費と負担がゼロになる方向を目指しています。
個人の意見ですが、役員数を減らし、やってもよいという人が主体的に動ける団体にしたいと考えています。
手塚筑摩野中はPTAを解散し有志団体にしましたが、最初はPTAという組織や役職が嫌なら名称を変えればいいと考えていました。ところが加入率低下や役員が決まらなくなり、目的さえ間違えなければ組織にこだわらなくていいという結論になりました。
初めて有志で7月に行った校内の環境整備作業は、皆さん意欲的で効率よく終わりました。筑中りんどう会を誰もが入れる団体にするため、地域や企業にどうアプローチするかが課題です。
百瀬私も通学区にある企業に協力を求めたいと考えています。地域・行政の参加も必要だと思います。子どもをいかに大切に守っていくか、みんなで考えていかなければと感じます。
濱本過度の負担なく、子どもが卒業しても関われ、地域・企業・行政も加わった子どもたちの応援団になればいいですね。