親子に優しい環境づくり フリーランスの保育士らが座談会

「選択肢の一つとして利用して」

保育園などに属さず子どものいる家庭などに出向くフリーランスの保育士による座談会が11月、安曇野市内で開かれました。松本平で活動する女性6人のほか、公立保育園に子どもを通わせるママ、一時保育に預けながら在宅ワークをしているママも参加。内容の一部を紹介します。

★フリーランスを選んだ理由

保育士6人のうち5人は保育園や幼稚園などで働いた経験があります。退職理由は全員が出産。元の職場に復帰しなかったのは、「子育てをしながら1人で30人の子どもを見る(4、5歳児の保育士の配置基準)のは無理だと思った」という声のほか、非正規職員だと給料が安いという意見もありました。
また、自分が子育てを経験したことで、乳幼児に午後1時になったらお昼寝、3時になったらおやつだから早く起きて布団を片付けてということに違和感が出たという人も。

「一人一人違うから、小さいうちは子どもに合わせた方がいいのではないかと思うようになりました。園は集団保育だからそれを実行するのは難しいと理解していますが、さんざん寝なさいと寝かしつけて、時間になったら起こして『早く!』ではかわいそうな感じがして…」(30代、松本市)

自分の子どもを優先したい、小学校の行事に行ってあげたい、病気の時に一緒にいてあげたいなどの理由も出ました。
保育士は、ほぼ全員が小さい頃からなりたかった職業といい、「仕事は好き。園で働くスタイルが合わないなら自分でやろう」とフリーランスを選んだといいます。

「時給は自分で決めて利用者と交渉します。場合によっては、依頼を受けない選択ができるのもフリーランスだからできること。保育士としての質も上げていきたいし、安く思われたくないからこだわります」(30代、安曇野市)

ファミリーサポートとの違いを聞かれることもあるといい、「私だからできる保育があると思っています。『この人の保育を受けたい』と思ってもらえる保育士であるためにスキルアップもしています。(保育の)選択肢が増えることは保護者にとっても良いことだと思います」
海外ではシッターに子守りを頼み夫婦で食事やパーティーなどに行くといった行動は珍しくなく、「日本でもそんな環境が当たり前になってほしい」と全員が口をそろえました。
「『いつもあなたのために我慢しているんだ』と育てられても、子どもは『望んでない』と思うかもしれません。お母さんがリフレッシュして元気になれば、子どもにも優しくなれますよね。そのための選択肢の一つとしてフリーランス保育士を利用してほしいと思います」

★ママの声

◆子どもを産んだ途端に「お母さんだから」と言われ、自分が好きなことをやるのに罪悪感があります。友達にも会いたいし、推しのライブにも行きたいし、趣味のイベントにも参加したい。でもそのために子どもを預けるのは、母親業をさぼっていると思われている気がします。
親に子守を頼むと「母親になったのにまだそんなことしているの?」と怒られモヤモヤ。そもそもこの言いづらい雰囲気が嫌だし、すぐ預けられる人がいたらいいなと感じます。

◆どんなにいい環境、いい施設があっても保育は人だと感じます。子どもは一人一人違うからみんな大事にされるべきで、それが分かっている人に預けたいです。