伝統の「どっこい清掃」 聖南中生徒に歴史や思い伝える座談会

創始者や卒業生ら語る

「どっこい!さあ、どっこい!」と掛け声を上げて気合を入れながら校内を掃除する、筑北村の聖南中学校の伝統「どっこい清掃」。創始者の元中学校教諭・小沢正長さん(75、安曇野市豊科)や卒業生らを招いて話を聞く座談会が1月23日、同校で開かれた。
同校PTA(宮入清文会長)が企画し、小沢さんと当時の教え子や同僚教諭、生徒の保護者ら8人と全校生徒72人が参加。小沢さんらが、どっこい清掃の歴史を生徒に教え、開始当時の思いなどを振り返った。
始まりは、小沢さんが同校に赴任した1978(昭和53)年。「トイレが汚いのが嫌だった」という小沢さんが、上半身裸に短パン姿でくみ取り式の便器を外に持ち出し、生徒と雑巾で磨いたことがきっかけだった。生徒が「こするのが面白い」と格好もまね、一緒に掃除するようになったという。
「どっこい」の掛け声は「景気づけに生徒が言い出し、自然にそんなスタイルになった」と小沢さん。
どっこい清掃は新型コロナの影響で3年間休止していたが、生徒から「伝統を復活させたい」と声が上がり、3年生を中心に話し合い、卒業生に話を聞いて学ぶなどし、昨年5月に再開。
座談会は、入学後にどっこい清掃を経験していなかった生徒らが、始まった経緯や始めた人の思いを知り、継承していくのを目的に開いた。卒業生の渡辺安子さん(58)は「中学時代の思い出として強く残っている。今も受け継がれていることがうれしい」。
3年生の前生徒会長・雫田桃花さん(15)は「先輩方は誇りを持ってやっていたと感じた。他にはない清掃で素晴らしく、さらに力を入れて取り組みたい」。小沢さんは「寒い時季に大きな声を出し、掃除する生徒の姿を見てうれしくなった」と話していた。