高校生バンドに演奏の舞台提供 平瀬さん松本市音楽文化ホールでフェス企画 4月7日

「せっかくバンドを組んだんだから、ステージに立たせてあげたいじゃないですか」。そう笑顔で話すのは、安曇野市堀金烏川の平瀬雅之さん(60)だ。
平瀬さんは「高校生バンドフェスティバル2024」を初めて企画し4月7日、松本市音楽文化ホール(島内)小ホールで開く。
中学でギターを手にし、高校でバンドを組んだ。社会人になっても音楽に親しんできた平瀬さん。還暦を迎え、自身の若い頃と今の高校生バンドの環境を見比べ、「発表する場がなく、かわいそう」と思った。
「だったら大人が手を貸すぜ」。会場の手配から当日の運営まで全て受け持つ。「舞台は整った。さあ、エネルギーを爆発させてくれ」。「頼もしい大人」の声が聞こえてきそうだ。

ステージ出演のハードル下げる

3月29日、松本市大手4のスタジオ・ポートレイト。平瀬雅之さんが初めて企画した、「高校生バンドフェスティバル」に出演する松本深志高の女子生徒5人組バンド「SHARN(シャルン)※」が、本番に向け仕上げの練習をしていた。スタジオには「初対面」という平瀬さんの姿もあった。
SHARNのメンバーは、ボーカル藤森涼華さん、ギター田中奈々子さん、ベース古井はるかさん、キーボード髙山彩さん、ドラム洞山颯希さん。全員2年生で、ギター部に所属。昨年4月19日、同部の顔合わせで「何となく息が合った」と、バンド結成。髙山さん以外は「楽器初心者」で、担当が決まると、それぞれユーチューブなどで覚えた。
これまでステージに立った経験は、文化祭とライブハウス出演の計4回。学校のステージは一般客がほとんどおらず、ライブハウス出演にはチケット販売の「ノルマ」―と、それぞれ困難があった。
平瀬さんが企画した「最低限の出演料」だけで出られるステージは「他にない」条件の良さという。メンバーたちは「(音文のステージは)ちょっと信じられない。こういう機会をつくってくれてうれしいし、ありがたい」と感謝する。

高校生バンドの現状を知り決意

平瀬さんは札幌市出身。幼い頃から音楽好きで、地元の高校で仲間とバンドを組み、楽しさを知った。大阪の大学に進み、体育会系のヨット部に所属しつつバンドを継続。就職先も電子楽器製造などのローランドと「音楽関係」を選んだ。そこでも即席でバンドを組み、社内イベントなどに出ていたという。
松本市内の工場に配属されていた十数年前、家を建てる決意をし、こだわったのが「スタジオ付き」。半地下のスタジオには現在、グランドピアノをはじめドラム、ギターなどの楽器がそろう。ミキサーやアンプなどの音響機材もある。
退職後、プログラミングの会社を設立するのと同時に、現在の高校生バンドが置かれている状況が気になり探った。松本秀峰中等教育学校4年の長女・優衣さんが、友達と「休日にはピーナッツを。」というバンドを組んでいたこともある。
「文化祭以外に発表する場がとにかく少ない。あってもチケット販売が条件になると、高校生には荷が重い」。現状が分かり、「自分がその気にさえなれば、高校生に舞台を用意ができる」と、今回のフェス開催を決意した。
当日は「SHARN」「休日にはピーナッツを。」以外に3組が出演。互いに刺激し合いながら、熱いステージを繰り広げるだろう。
平瀬さんは「音楽を通じて仲間ができるのもバンドの良さ。ステージに立って、さらに楽しさを実感して」と期待。「熱いメッセージが降りかかってくるような、高校生の生々しい演奏を見てほしい」と呼びかける。
午後1時開演。入場無料。

※Rは上下逆さま