地元の未来・課題考え―「自転車甲子園」初出場で白馬高が準V

「先進地」生徒と討論も

高校生が、自転車乗車の法令・マナーの知識や運転技術を競い、サイクリング文化の定着や活性化への意見を発表する「自転車甲子園」。昨年12月に松山市で開いた第3回大会に初出場し、優秀賞(全体の2位)になった白馬村の白馬高校の生徒5人は、自転車活用の先進地の生徒らとの対戦を通じ、地元の未来や課題を見つめた。

愛媛勢に県外から唯一挑む

自転車甲子園は愛媛県や県内企業などでつくる県自転車新文化推進協会が2021年に始めた。初めて全国から出場校を募った今回は、県内8校と県外から唯一、白馬高が参加。3人1チーム(補欠2人)で道路交通法やマナーのクイズ、乗車の実技、地域活動に関するスピーチの3種目を行い、合計得点の上位4校が決勝の討論バトルで争った。
白馬高の選手は山田愛太さん、目時羽琉(はる)さん(以上2年)、染谷元太さん(1年)、補欠が村川航一さん、原つばささん(以上1年)。5人ともスキー部員で、山田さんと原さんは自転車競技にも取り組み、他の3人はトレーニングや通学で自転車に乗る。大会の情報を得た部員の家族の提案で、有志で出場した。
実技は、高難度の「スタンディング2m」(2メートル四方の枠内で足を着けずに立ち続けた時間を競う)で、自転車競技で昨夏のインターハイに出場した山田さんが満点を獲得。「8の字スラローム」の目時さん、「1本橋」走行の染谷さんもミスを最低限にとどめた。
スピーチで白馬高は、自転車も通れる散策路やパークが整備され、大会や地元クラブの活動も盛んな村の現状を踏まえ、高校生にできることとして、傷んだ道標の整備などに地域のNPO法人と取り組んでいることなどを発表し、課題として村東側の人口が減ってきた地域を通るサイクリングロードの維持を挙げた。
全体の2位で進んだ決勝は、道路交通法を守る方策を4校で討論した。白馬高は「自動車運転免許の取得や更新時に(自転車の)講習を取り入れる」「幼児期からの自転車講習」を訴えた。

知識や技術成果の還元を

「自分たちは今ある環境を未来につなぐことを重視したが、愛媛の生徒は地元食材を使った携帯補給食の開発といった、高校生らしい活性化の視点が印象的だった」と染谷さん。
昨年7月の警察による調査で、愛媛はヘルメットの着用率が全国1位の59.9%(長野は17.3%)など、ルールを守る点でも先進地だ。目時さんは「愛媛では(街中などで)見たことがない自転車用の標識や看板をいくつも目にし、安全に自転車に乗ってほしいという思いを強く感じた」という。
山田さんは「校内や周囲にも自転車の正しい乗り方を伝えていけたら」と、学んで手にした成果の還元を考えている。