菅野中サッカー部顧問・吉田教諭に聞く 休日部活動の地域移行

県は2026年度末までに中学校の休日部活動の完全地域移行を目指していますが、学校や種目によっては部員不足などを理由に、来年度以降の新規部員の募集停止を決めたところもあります。松本市菅野中学校(笹賀)のサッカー部もその一つです。同校サッカー部顧問で、地域移行の受け皿となる「菅野FC」の運営に取り組む吉田陽一教諭(57)に話を聞きました。

地域クラブが子どもの受け皿に

★菅野中サッカー部の現状
本年度は3年生15人、1年生4人の19人で活動していましたが、3年生の引退後に1年生は全員転部し、来年度は新規部員の募集停止が決定しています。
菅野中の生徒を含めこの数年でクラブチームに所属する選手が増えた一方、「部活動もしくはそれに近い形でサッカーをやりたい」という生徒や保護者もいます。彼らが活動できる場であり、地域移行の受け皿となることも目的としたクラブが「菅野FC」です。
★菅野FCとは
1989年創設のサッカークラブで、93年には「日本クラブジュニアユースサッカー選手権」(全国大会)への出場経験もあります。2002年から現在まで、和出秀男さん(71、神林)が代表を務めます。
さまざまな事情で10年ほど前から活動ができない状態でしたが、地域に根差したこのクラブこそ地域移行の受け皿として活用したいと考え、和出さんと共に今夏再始動しました。
★現在の活動状況
土日曜・祝日を中心に、週2回程度活動しています。主な練習場所は菅野中で、菅野FCスタッフが指導に当たります。
活動費は参加費が1回500円、スポーツ安全保険代として年間800円。松本市内外などの中学校の生徒も参加できます。
7月から菅野中サッカー部出身の3年生2人で活動を開始し、11月からは近隣校の3年生4人が定期的に参加するようになりました。
メンバーだけでは練習メニューに限りがありますが、FC塩尻アルマーレ(塩尻市広丘原新田)や松本平の複数の高校サッカー部の合同トレーニングや練習試合に加えていただき、練習の幅を広げることができています。地域ぐるみで子どもたちを育てていることを実感しています。
★他にサッカーができる場
在籍校に希望する部活動がない場合などに、参加を希望する生徒を近隣の学校が受け入れる「拠点校部活動(委任指導を含む)」や、各学校の部活動で少人数のため単独チームが編成できない場合に、複数校の合同チームをつくり中体連大会への参加ができる「複数校合同チーム」などがあります。
また私が携わる活動として、松商学園高校サッカー部スタッフの協力の下で行う中学生対象の個別指導型サッカースクール「つばさクラブ」(週1回)や、単発のゴールキーパー講習会(月1回程度)があります。
サッカーをやりたいのに「部活動がないから」という理由で子どもたちが諦めてしまうことのないよう、一人でも多くの子が活動できる場を整えるのが、私たち大人の責任だと思います。