【ビジネスの明日】#60 シャルマーント ダイアナ代表 下村みゆきさん

心つかむ「人間力」経営基盤に

「美しさと健康は一対なんです」。柔らかなほほ笑みを見せながらこう語るのは、化粧品販売などを主力に、プロポーションづくりの指導を行う総合美容サロン、シャルマーントダイアナ(松本市松原)の下村みゆき代表(72)だ。創業30周年。お客の心をつかむ「人間力」が経営の基盤になっている。
同店は女性用補整下着や化粧品を主に販売するダイアナ(東京都)のフランチャイズ(FC)店。米国のホワイトハウスを模したというサロンは、幹線道路から離れた小高い住宅街の、あまり目立たない場所にある。
こうした立地条件ながら、お客は遠くは新潟県など、県内外から訪れ、現在の会員数は約2500人。創業以来ほぼ毎年、全国約750店のFC店の中で、売り上げは上位20位前後を維持し、本部が定める「年間優秀サロン」に選ばれている。
接客する上で心がけていることは「誠実に向き合う」こと。そのために「お客さんとはゆっくり話したいが、時間には限りがある。どうしても少ししか時間が取れなかった場合には、すぐにメールで謝るなどフォローしている」。
こうした細かな気配りが信頼を得て、そのお客がリピーターになるだけでなく、新規客の紹介にもつながっている。
また、キャンペーンなどで短期間に、一気に売るのは「あまり好きじゃない」ときっぱり。理由は「一度にたくさん売るより、長続きしてもらう」が、信条だからだ。
「その時にクリアしなければならない数字(売上高)があり、到達できないとすれば、自分で買い取って、商品は在庫にする」。こうした決して無理強いせず、お客に寄り添った販売スタイルが共感を呼んでいる。

1994年創業。今年30周年の節目を迎え、「これまでのことを何か形に残したい」と、自身の42編のエッセーと詩を1冊にまとめた「夢の小箱をアナタに」を自費出版。波(は)瀾(らん)万丈の半生を振り返りながら、序文で「迷い道にいる人に、少しの勇気を。悲しみの中にいる人には、少しの希望を。幸せな人には、もっと幸せを」と、読者に伝えたい思いをつづった。
全国のFC店の中で、自身と同じ立場の「チーフプロポーションカウンセラー」の最高齢は80代半ばという。「その人を目標に現役を続け、『永遠に美しくありたい』という女性をサポートしたい」

【プロフィル】しもむら・みゆき 1951年、群馬県出身。都内の大学卒業後、保育士に。夫の転職を機に30歳前後で松本に移住。化粧品会社の営業所長、幼児教育教室の営業窓口などを経て、42歳の時にダイアナのFC店・シャルマーントダイアナをオープン。