【像えとせとら】旧制高等学校記念館 旧制高校生像・松本市県3

前を見据えるその視線の先には

旧制高校生は服や帽子をわざと汚したり、ぼろぼろにしたりする「バンカラ」な気風が特徴という。旧制松本高出身の作家、北杜夫さんは「帽子に、夢にまで見た白線を巻き、それに醤油(しょうゆ)と油をつけて古めかしく見せようと努力した」(「どくとるマンボウ青春記」)と記している。
松本市あがたの森公園内の旧制高等学校記念館。ロビーに立つ旧制高校生の像は高げたを履き、制帽をかぶり、制服の上に外套(がいとう)を羽織り、未来を切り開かんとばかりに前を見据える。同じ松高出身の映画監督、熊井啓さんの著書には「バンカラ人種と反対に、思索型の学生も大勢いた」とあるが、この像は果たしてどちらか。
地元の彫刻家で、2016年に102歳で亡くなった洞澤今朝夫さんの作。松高の卒業生らが、1993(平成5)年の記念館完成時に寄贈した。
あがたの森文化会館(旧松本高校本館と講堂=重要文化財)は洋風の木造だが、隣接する記念館は、れんが造りを模した。文化会館の初代館長、手塚英男さん(81)によると「講堂の東隣にあった、松高の図書館の面影を伝えている」という。
像を背後から見てほしい。その視線の先は今は駐車場だが、かつては図書館があった。像が学友らを懐かしんでいるようにも見え、想像が膨らむ。