【中村小太郎・駆け出し百姓の自然農奮闘記】#6 田植え迎えるプロセス

今年も田植えの日が来ました。
私のような自然農法では、この日を迎えるプロセスは、昨秋に始まっています。9月頃、稲刈り前に育苗土を作るのです。暖かい時期に微生物の力を借りて養分の豊富な床土にします。
春先には、種もみのひげのような突起(芒=のぎ)を除く「のぎ取り」。地味ですが、芒があると播種機に詰まったり、もみ同士が離れずに均等にまけません。中身の詰まった種もみを選び出す塩水選は、比重1.17の塩水に入れて未熟な種もみを浮かせてはじき出す作業。60度のお湯に7分間浸す温湯消毒をすることで、10種類以上の病気から守ることができます。
こうして手をかけた種もみを育苗マットに1枚あたり80グラムまきます。ポイントは、間を空けて「密」を避ける疎植。20日間、朝晩の温度管理と水やりをし、田植えを迎えます。
昔は、いやそれほど遠くの過去ではなく、どの農家でもやっていたことです。「農業2.0」以降、農薬や肥料、種だけでなく、稲の苗まで育苗マットで買う時代になってしまいました。
近隣の親戚の元には、育苗センターからその日の朝に、きれいに揃って育った苗が届きます。きっと皆さんの目には違いは分からないでしょう。
きれいに代かきをした田んぼに、うまく活着(根付く)してくれよと祈りながら田植え機に乗ります。
今年もどうやら小太郎米は無事に活着してくれたようです。風にそよぐ姿が苦労を忘れさせます。