結婚式のテーブルに個性を
「創業25周年の節目にコロナ禍となり、大打撃を受けたが、仕事を見詰め直す転機になった」。結婚式のテーブルコーディネートなどを提供するベスト・カラー(松本市笹賀)の吉岡直美社長(53)だ。「ふらっと」訪れた松本で会社を立ち上げ、自身のアイデアを売り込み成長してきた。「思い付いたらやる」が信条だ。
昨年からのコロナ禍で、結婚式を控えるようになり、売り上げは9割減の月も。ここにきて盛り返してはいるが、コロナ以前の状態に戻るにはまだ時間がかかりそうだ。
そこで今春から始めたのが式場の紹介などをする「エージェント業務」。これまで培った経験を基に、挙式について悩むカップルの相談を受け、最良の結婚式を提案している。
「コロナ以前から『挙式しない』という傾向はあったが、ここまでの危機感はなかった。カップルと式場の橋渡し役になれれば」と期待する。
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千葉県出身。地元の高校を卒業後、三越に就職。紳士服売り場に配属され、お客にコーディネートを任された際に気付いたことがあった。いいと思った組み合わせでも「似合う、似合わないがある」。色に興味を持つ原点だ。
約3年後、リクルートに転職。大きな組織の中で働き、気付いたことは、「意外と簡単に会社を辞め、簡単に起業できる」。自分の好きな仕事をしようと思った。
20代のこの時期、友人の結婚式に頻繁に呼ばれ、感じていたことがあった。「テーブルコーディネートは白がほとんどで、飾りにも個性がない」
リクルートでの忙しさに疲れ果て、「このままでは駄目になる」と退職。心身を休めるため、行く先も決めずにたどり着いたのが松本。松本城の天守に登り、北アルプスを眺めた瞬間、「ここで暮らす」と決めた。
2つの会社で気付いたことと、結婚式で感じたことを頭の中で整理。「オーダーメードのテーブルコーディネートを売る」という答えが出た。1995年、松本市井川城に個人事業の「クリエイティブ・アソシアート」を設立した。
早速、営業に出向いたホテルブエナビスタ(同市本庄)で、企画が採用され、その後、2つの式場などとの取り引きも決まった。
これまでの人生を「運がいいだけ」と笑顔で振り返り、「結婚式は『文化』。これほど運気のいい場所はない。そのことを若い世代に伝えていきたい」と前を向く。
【プロフィル】
よしおか・なおみ 千葉県柏市出身。1998年、現社名に変更し、法人化。2010年に株式会社化し、社長就任。松本市鎌田。