【中村小太郎・駆け出し百姓の自然農奮闘記】#8 「ずくなし」にはまねできない作業

「ずくなし」。時に方言は残酷です。信州に移住して4年と少し、よく言われます。「変なこだわりのないさっぱりした性格」のような褒め言葉だと思っていました。大間違いでした。小さい頃から根気のいる作業は苦手。確かに私はずくなしです。
さてそれは、ある1本の電話から始まりました。「母が高齢で、接客などが大変なのでブルーベリー園を運営してほしい」。自然農法でよろしければと軽く引き受け、見てびっくりしました。なんと私の田んぼと同じ4反の広さです。
私には、同じ色の濃さの粒を摘み、手でより分ける作業は苦行。まてよ、これを苦行としない人たちがいるぞ。東京の講演でご一緒した方が、就労継続支援事業所と組んで果実のせん定と収穫を農福連携で運営していると言っていたのを思い出しました。
地元の社会福祉事業団に相談し、B型就労継続支援事業所を紹介いただきました。知的障害を持つ彼らの就労機会は限られていて、折り箱製作のような仕事を屋内ですることが多いと聞きます。
山形村にあるオーガニックブルーベリー「KOTARO」の農場で、お日様を浴びながら一粒一粒丁寧に摘んでくれる姿に感動します。上手だと褒められた時の笑顔が素晴らしい。環境と社会と人への思いやりが詰まった、こだわりのブルーベリーです。
全ての果実農場が彼らの笑顔で満ち溢(あふ)れることを夢見ます。