【中村小太郎・駆け出し百姓の自然農奮闘記】#9 みぐさい?

「みぐさい」。前回に続き、「時に残酷な方言」から入ります。
「雑草が生えてきていて、みぐさい田んぼ」「あぜ草が伸び放題でみぐさいよ」などと使われます。漢字を当てるとしたら「見臭い」でしょうか。
除草剤を使わない自然農法が雑草との戦いであることは、ご想像いただけると思います。防虫剤も散布しませんので、虫対策、これも重要です。特にカメムシは、米粒に茶褐色の斑点が入る斑点米の原因となると言われ、農業者は忌み嫌います。
私は4年目ですが、一度も斑点米に悩まされたことはありません。有機農家の先輩に聞くと、田んぼのクモとカエルのおかげだそうです。カエルは、夜、人間が寝られないくらいの大合唱を響かせますが、翌日のカメムシ朝食に備えているようで心強いです。クモも、昼の間に巣を張りカメムシなどを捕らえてくれます。いずれも自然農にとっては頼もしい味方です。
もう一つ、この時季に続けていることがあります。水利組合の皆さんと一緒に全員であぜ草を刈ることです。それこそ「みぐさい」から刈るのかと思っていたら、もっと現実的な理由が。カメムシはお米よりもこの時季の雑草の方が好きなようで、ここ一帯には好物がないと思わせる防除法なのです。
見た目も、虫対策にも良い草刈りで一汗かきます。ちなみに水利組合の名前は「大堰(おおせんげ)水利組合」。信州の各地で用水路を「堰(せぎ)」と呼びますが、松塩地区では「せんげ」です。地区限定の「方言」でしょうか。