愛嬌あるシンボル兼マスコット
JR穂高駅前の安曇野市観光情報センター前に、木彫りの熊がいる。高さは台座の切り株を含めて約160センチ。顔や体つきはリアルだが、右手の親指を立てた姿は愛嬌(あいきょう)がある。「安曇野」の看板を手に、2012年に同センターが現在地に移転した当初からシンボル兼マスコットを務め、一緒に写真を撮る観光客も。
丸太からチェーンソーで彫刻を削りだす「チェーンソーカービング」の作品。作家の伴(ばん)正史さん(71、同市豊科南穂高)と、地域づくり活動をする等々力秀和さん(80、同)らは07年から、市内の長峰山でチェーンソーカービングショー(20、21年はコロナ禍で中止)を開き、参加した兵庫県の作家の作品を等々力さんが譲り受け、同センターに寄贈した。
センターの移転当初、穂高駅の周辺に本物の熊が出たといい、「木像を置けば、熊が来ないのではないかと考えた」と等々力さん。シェアサイクルのポート(貸し出し拠点)の目印や、自転車ラックの見張りもこなす。名前はないが「安曇野の熊」を略して「あづくま」、あるいはなぜか「ジョージ」と呼ぶ人もいる。
当初は茶色に塗られていたが、長年の風雨でくすみ、立てた親指にも接着剤で修理した跡が。同センターを運営する市観光協会は「暖かくなったら色を塗り直す」としており、もうすぐ生まれ変わる予定だ。