【ビジネスの明日】#41 マーベルキャリアコンサルティング代表 赤沼典昌さん

人事問題解決し地元企業発展を

「経営者は人事に頭を悩ませず、会社の発展に集中してほしい」。こう語るのは、人と組織の問題解決を得意分野とするコンサルティング会社・マーベルキャリアコンサルティング(松本市出川2)代表の赤沼典昌さん(57)だ。大手企業で約20年間、人事に携わった経験を生かし地元の活性化に注力する。
少子高齢化が進む中、少なくとも今後10年間は、中小企業にとって人材不足は重要な経営課題になると見ている赤沼さん。
今年6月の県内の有効求人倍率は全国平均を上回る1・72倍と高水準で、「売り手市場。求職者と企業が求めている仕事が合わない『ミスマッチ』もあり、採用が困難な状況が続いている」と分析する。
こうした状況下、スマートフォン時代に対応したり、目に留まったりする求人の出し方などを企業にアドバイス。企業が求める人材をきめ細かくリサーチし、発掘して紹介している。
また、社会保険労務士の資格を取得し、2020年6月に社内に事務所を開設。人材紹介後の労務トラブルの解決や人材の定着など、「人と組織の問題」を総合的に担うことを強みにした。
「企業がいい人材を獲得して会社を発展させ、就職した人がキャリアアップにつなげるなど幸せになる。ウィンウィンの関係をつくりたい」と意気込む。

松本市内の高校を卒業後、18歳でセイコーエプソンに入社。周りのほとんどの友人らが県内外に進学する中、「自分は外の世界を見ないまま、学生時代を終えた」と思った。
就職後は、労働組合専従となり、組合員のキャリア発達を支援したり、人事部の課長に就いたりと、51歳で退職するまでの約20年間、人事に携わった。
この間、地元の中小企業の経営者から人材が採用できない、定着しない、育たない|などといった相談を受けるようになり、「経営者がビジネスに集中できなければ、会社はもとより、自分が育った地元が発展しない」と痛感。
高校を卒業する頃は、「外の世界」にも憧れたが、社会人として地元に根付くと愛着は深い。「これまで経験した人事のノウハウを地元に還元したい」の思いから2017年、独立した。
「手応えは徐々につかんでいる。人事で困っていることは何でも受け付けたい」とし、「経営者は起業したときの思いを遂げてほしい」と願う。

【プロフィル】
あかぬま・のりあき 1965年、塩尻市出身。松本県ケ丘高校卒業。1984年、セイコーエプソン入社。98年、同社労働組合専従。2011年、同社人事部管理職。17年、マーベルキャリアコンサルティングを設立し代表就任。松本市井川城在住。