【ビジネスの明日】#48 ネックレス社長・滝沢直美さん

健康に働く意義信州に広げる

「体と心の両輪が健康であってこそ、いい仕事ができる」。こう語るのは、健康関連のサービス業・ネックレス(松本市中央2)の滝沢直美社長(42)だ。自身の交通事故を契機に、12年間務めた地方公務員を退職し昨年9月、同社を設立。「健康で働く」ことの尊さを実感しており、「そのための応援をしたい」と意気込んでいる。
ネックレスの第1弾事業として行っているのが「オフィスリラクゼーション癒(いや)しラボ」。首、肩、腰など、張りや凝りのある部分のもみほぐしなどをするセラピスト6人と業務委託契約。そのセラピストが、企業、団体のオフィスや工場に出張してサービスを提供するのが事業スタイルだ。
今年1月から本格稼働し、県内の数社と契約。「こんなサービスをしてくれるんだ」と、興味を示す経営者も多数いて、今後に手応えをつかんでいる。
「施術をするほか、1対1で会話もする。体に触れると、安心感が生まれ、自然とリラックスできる」とし、「プライベートな悩み事を相談するようになるなど、職場に居ながら息抜きができる。その後の仕事の効率も上がるのでは」と、出張サービスの効果を強調する。

2001年、自然の豊かさなど、子育ての環境を考えて、関西方面から塩尻市に移住。以後、地方公務員として働いた。
6年前、交通事故に遭い、頸椎(けいつい)のけがを負った。後遺症から頭痛、目まい、手のしびれなどが出るようになり、日常業務のデスクワークをこなすのが困難な状態に。
事故後、約3年間は、療養のための休暇を取ったり、「ありとあらゆる」治療をしたりしたが、完治には至らず、「これ以上、職場に迷惑をかけられない」と、19年3月に退職した。
その後の自分の進む道を考えた時、「大好きな信州のために何かしたい」という思いが大前提にあることを認識。その上で、自身の事故の経験を生かし、「職場で働く人が健康で元気なら、会社が元気になり、その結果として信州が元気になる」と健康関連で企業をサポートするネックレスの設立に至った。
今後、5年ほどかけ「癒しラボ」を全県に広めるほか、健康関連の商品開発や生きづらさを抱える人のサポート事業などを展開する計画。
「これからは、人生を力強く生きるための活力を提供していきたい」と力強い。

【プロフィル】たきざわ・なおみ 1980年、岐阜県出身。2001年、塩尻市に移住し、12年間、地方公務員として勤務。22年、ネックレスを設立し社長就任。