幼少期から親しもう 年長児が「囲碁交流会」大町市

囲碁でまちづくり 裾野広げて

囲碁によるまちづくりを進めて30年ほどになる大町市では、幼少期から囲碁に親しむ機会を設け、裾野を広げている。全ての市立保育園では主に年長児が、相手の石を囲んで取り合うゲーム「ポン抜き」を教わる。ルールを覚えるのに役立つ、囲碁への楽しい入り口だ。共通の話題を通じて、園を超えた交流も深めている。
1月中旬、市立6保育園の年長児約80人が同市常盤公民館に集まり、「囲碁交流会」が行われた。コロナ禍のため4年ぶり、27回目の開催となる。3分ごとに相手を交代して他園の園児と対局したり、碁石役の園児を4人一組で囲み、時間内に連れてきた人数を競うゲーム「人間囲碁」をしたり。頭と体を使って触れ合った。
園児たちは、小さめの9路盤(縦横各9本線の碁盤。公式戦は19路盤)を挟んで着座。「お願いします」とあいさつして対局した。熱中して碁盤を見つめる二人の頭がだんだん近づきぶつかりそうになったり、「絶対勝ちたい」と闘志を口にする子がいたり。無邪気なそぶりを見せつつも、礼儀正しく対局を楽しんだ。
各園では日頃、市内他園の園児と2週間以内に紙の盤上で1手ずつやりとりする、「囲碁郵便」を続けている。交流会で初めて相手と顔を合わせ、対局もした。たけのこ保育園(八坂)の中条麦ちゃん(6)は「囲碁郵便のお友達と会えて楽しかった。勝ったり負けたりするけど、石を取るのが楽しい。小学生になっても続けたい」と笑顔だった。
市や日本棋院大町支部などでつくる「アルプス囲碁村推進協議会」は市内の保育・幼稚園や小学校、児童クラブなどに普及員を派遣、愛好者の拡大に努めている。協議会会長で、園での指導にも当たる勝野稔さん(66、大町)は「礼儀やあいさつ、数を数える力も身につく。学校で共通の話題にもなるはず」と囲碁の良さを語り、もうすぐ1年生になる年長児たちの姿を、温かく見詰めていた。