松本大学で「出産・子育て公開講座」食・医療の専門家に学ぶ

松本大北地域出産・子育てネットワーク協議会は10日、「出産・子育て公開講座」を松本大(松本市新村)で行いました。1部は料理家・食育インストラクター和田明日香さん(東京都)と信州大医学部保健学科の金井誠教授の講演、2部は事前に募集した質問に4人が答えました。

母親の「おいしい」大切

和田さんは料理愛好家の平野レミさんの次男と結婚。義母の影響もあって料理に興味を持ち、3人の子ども(長女中学1年、長男小学5年、次女小学3年)を育てながら食育インストラクターの資格を取得し、料理家として活躍しています。
「子どもが生まれた時から大切にしているのは、晩ご飯を一緒に食べること」と和田さん。仕事は基本的に午後5時までという“マイルール”をできる限り守っているといいます。
食事中の子どもたちの話は三者三様で、「まるでドキュメンタリードラマを見ているよう」。親の意見を一方的に押し付けるのではなく、距離感を大事にしているといいます。
食育インストラクターの資格取得には夫の勧めもあったといい、「子どもを寝かしつけた後などに学ぶことは楽しかった」。勉強により、例えば「なぜ好き嫌いをしてはいけない」といった子どもの疑問に答えられる知識は得たが、「一度子どもの目線に立って当たり前を疑うことも大切にしています」といいます。
「お母さんが『おいしい』と言って食べることが一番大事。栄養があれば、彩りのないご飯だっていいんです」
金井教授は、松本地域の分娩(ぶんべん)を取り扱う医療施設が減っている状況について話しました。1999年は13施設あったのが、2021年には半数に激減。そこで医療機関ごとに健康診断や分娩を分担する仕組みを導入、健診記録を各医師が共有できるよう「共通診療ノート」を作るなど、新たな医療システムを構築した歩みを紹介しました。
「妊娠前に、自分が住む地域の産科医療態勢を知っている人は少ない。それは妊婦さんの約半数が初めてのお産だから。公開講座はそうした状況を伝える意味もあります」と話しました。

2部の「なんでも相談会」では、和田さんと金井教授に加え、信大医学部小児科の三代澤幸秀医師、県助産師会松塩筑地区長の橋爪尚子さんが質問に答えました。
「子どもの食べむらとの付き合い方を教えてください」という質問には、和田さんが回答。
「躍起になって食べるのを待っている人の前では食欲も湧かないですよね。体重を見つつですが、のんびり付き合うのが一番。食べさせることばかりに一生懸命になって、自分が楽しく食事をすることを忘れていると、食卓の雰囲気が殺伐としてしまうことがあります。お母さんが楽しく食べて、それにつられて食べてしまうような空気づくりがいいかもしれないですね」
ほかに無痛分娩、子どもが夜間発熱したときの受診、妊婦の体重管理などの質問がありました。