【ビジネスの明日】#07 SEASON社長 伊勢夏子さん

スタッフは仲間 大切にしたい

「22歳で店を開いた時は、ワインの栓の開け方も、上座がどこかも全く分からなかった」。松本市内で居酒屋2店とスナック1店を経営する「SEASON(シーズン)」の伊勢夏子社長(28)は、当時を振り返って苦笑いする。
現在の「かじゅある割烹(かっぽう)しーずん」(本庄1)の前身となった創業店「春夏秋冬ダイニングシーズン」は、中心市街地の南端で競合店が少なく、ホテルの真向かいだったことも相まって、売り上げは右肩上がり。「本当によいお客さんが多く、育ててもらった」と言う。
「店で出会う人の、帰りたい場所となるために」が会社の理念。現在40人近いアルバイトを雇い、その多くが信州大や松本大の学生だ。理念の店に近づくためにスタッフの力が不可欠とし、問題があればその日のうちに厳しく指摘し、次の日まで引きずらない。「大事な仲間に育ってほしいから」と説明する。
週1回、閉店後にスタッフと食事に出掛けるなど、コミュニケーションを深めて信頼関係を構築。1年生でアルバイトを始めた学生は、ほとんどが卒業するまで続けるといい、「店がうまくいくには『人』が大切」と強調する。
それでも人材を確保し続けるのは難しい。今春、大学を卒業するスタッフが4人おり、その補充が喫緊の課題だった。そこで打った一手が「求人パーティー」。昨年11月、スタッフの友人や後輩らを店に招待してパーティーを開き、自身が先頭に立って働く姿を見せ、店の雰囲気を知ってもらった。結果、集まった約40人のうち5人が「ここで働きたい」と手を挙げた。

「通う意味があまり見つからなかった」と、明科高校を2年で中退。居酒屋などの飲食店で働き、2013年11月に「春夏秋冬―」を開店。16年6月に2店目の「ビアホールseason」(深志2)、昨年8月には「しーずん」2階にスナック「ラウンジ四季」をオープンした。
今年は、市内に居酒屋をもう1店舗開くのが目標。「社員から『こんなことをやりたい』と聞いたら、飲食店でなくても、その思いを支援したい」と多角化も視野に入れる。

【プロフィル】
いせ・なつこ 東京都出身。小学1年生の時に松本市に移住。1店目の居酒屋を開いた後の2015年に運営会社「SEASON」を設立し、社長に就任。28歳。同市里山辺。

(浜秋彦)