【中村小太郎・駆け出し百姓の自然農奮闘記】#5 自家採取で命をつないでいこう

田植え8日前の小太郎米育苗の様子

私の稲作は、50年間無農薬でお米を育てた父、中村豊のコシヒカリの種を継いでいます。
豊米から小太郎米になって4年目。ここ塩尻市広丘吉田(吉田=良い田んぼ!)の水、空気、風、太陽をよく知った種もみから、太茎で稲穂がたわわな小太郎米は実ります。この地の風土をよく知る遺伝子が、親から子、子から孫の世代へと同じ形質を伝えてきた「固定種」です。
ただ、世に流通しているのは、一定の品質にそろって育つよう種苗メーカーが開発したF1(第一世代)と呼ばれる種です。その特長は一世代に限って現れ子孫には残らないので、毎年、種を買って育てる必要があります。前回お話しした「農業2.0」以降、肥料や農薬のほか、種まで「買うもの」になりました。利益を独占したい種苗メーカーの思惑もあるのでしょう。
ドキュメンタリー映画「タネは誰のもの」(2020年)が、先月の松本市Mウイングでの自主上映会など全国各地で観客を集めています。種に関心を持つ方が多くなっています。
この中信地区は捨てたものではありません。自然農の初年度にお世話になったつる新種苗(松本市中央2)や、自然農法国際研究開発センター(同市波田)では固定種を買えます。どちらも自家採取を推奨しています。
できるだけ固定種を探して、自家採取を基本としたい。種は誰のものでもありません。命をつないでいきましょう、ご一緒に。